ニキビ跡治療を専門とする美容皮膚科医として、日々多くの患者様から「なぜニキビ跡の治療はこんなに高いのか」という質問を受けます。その答えは、ニキビ跡の治療が医学的に極めて高度な「組織の再構築」を必要とするからです。例えば、クレーター状の凹凸は真皮層にあるコラーゲン繊維が癒着して固まってしまった状態であり、これを改善するには組織を一度物理的に破壊し、新しく作り直させる必要があります。これに使用するフラクショナルレーザーやポテンツァといった機器は、1台が数千万円という莫大な投資を必要とし、その精度を維持するためのメンテナンス費用も年間で数百万円かかります。また、1回の施術で使用する消耗品のチップ代だけでも1万円から2万円の原価が発生しており、さらに看護師や医師の技術料、安全を管理するための設備費が加算されることで、1回数万円という値段が決まっています。適正価格を見極める際、1回あたりの料金が安すぎるクリニックには注意が必要です。ショット数を減らしてコストを削っていたり、効果の低い安価な中古機器を使用していたりする場合があり、それでは結局回数ばかりがかさんでトータルの支払額が増えてしまうからです。逆に、あまりに高額な場合は不要なオプションが多量に含まれている可能性があります。私が考える標準的な適正価格は、ダーマペン4で2万5000円前後、ポテンツァ(ドラッグデリバリーあり)で8万円から10万円前後です。ニキビ跡の治療は1回で完結しないため、5回セットなどのパッケージ価格が1回あたり2割程度安く設定されているクリニックを選ぶのが、最も賢いお金の使い方と言えるでしょう。また、値段だけでなく、万が一の肌トラブルの際の診察料や薬代が含まれているか、術後のアフターケアがしっかりしているかも重要な判断基準です。安さを追求するあまり、無資格に近いスタッフが施術を行うような施設を選んでしまい、火傷や傷跡が残ってしまっては本末転倒です。信頼できる医師は、患者様の予算に合わせて、今ある資金の中で最も効果が高い治療の組み合わせを提示してくれます。まずは自分の悩みの深さを正確に診断してもらい、納得のいく適正な対価を支払うことで、安全かつ確実にニキビ跡を治していく姿勢を持っていただきたいと思います。