日本の美容医療業界において、表面上はクリニックとして運営されていながら、実態としては医師がほとんど不在で、無資格のスタッフが中心となって診療や処置を行っている悪質なケースが問題視されています。これは、名義貸しと呼ばれる手法で、引退した高齢の医師や名前だけの管理医師を立てることで保健所の認可を取り、実際には経営者や看護師、あるいは資格のない事務員が実務を仕切る形態です。このような環境では、医師による適切な診察が行われず、カウンセラーと呼ばれる営業担当者が患者の悩みを聞き、そのまま施術内容を決定し、処置まで無資格者が行うといった医師法違反が平然と行われています。患者は白衣を着たスタッフを医師だと思い込んで信頼を寄せますが、実際には医学的知識のない人間がマニュアル通りに処置をこなしているだけに過ぎません。特にレーザー脱毛やシミ取り、注入系などの処置において、医師が診察室にすら現れないようなクリニックは極めて危険です。医師の役割は、単に処置を行うことだけでなく、患者の体質や既往歴を把握し、その処置が適しているかを医学的に判断することにあります。無資格診療が横行する背景には、美容医療の自由診療という特性を利用した利益至上主義があり、1人でも多くの患者をさばくために、高給な医師を雇用せず安価な無資格者を回転させる構造が存在します。このような場所でトラブルが起きた際、管理医師は名義を貸しているだけなので実態を把握しておらず、責任を回避しようとする傾向があります。被害を受けた患者は、どこに訴えれば良いか分からず、泣き寝入りを強いられることも少なくありません。こうした被害を防ぐためには、受診前に厚生労働省の医師資格確認検索システムなどを利用して、担当医が実在する医師であるかを確認することが有効です。また、初診時に医師による十分な説明があるか、リスクについてのインフォームドコンセントが丁寧に行われているかを確認することも重要です。無資格者による医療行為は犯罪であり、それを受け入れることは自分の健康をギャンブルに投じるようなものです。透明性の高い医療機関を選び、誰が自分の身体に責任を持つのかを常に明確にすることが、安全な美容医療を受けるための絶対条件です。
美容医療の現場で横行する名義貸しと無資格診療